夏から私の時間は止まってしまいました。
というより目まぐるしく時間が過ぎる中で、気がつけば秋の気配を感じ、前回更新したブログから一気に公演終了後のご報告をしないといけない運びになってしまったことに申し訳ない気持ちでいっぱいなわけですが、今日の更新からは「公演前にネタバレになっちゃうな~」なんて心配もなく堂々とあの日々を振り返れる!ということで、これから夏公演の全貌をご紹介したいと思います。
 
まずは今年も無事に夏公演が終演したご報告と共にご参加いただいた皆様はじめご来場頂きましたお客様、そして応援してくださった皆様に心より御礼申し上げます。
 
写真1 集合写真
 
さて、さかのぼること公演の約1ヶ月前。
“衣装パレード”行いました。今回も劇団員のみぃ(鈴木里美)が衣装プランナーとなり衣装を仕上げていったわけですが、若手のサムナツガール達も衣装製作の力になりたい!と、みぃを補佐する形で一緒にどんどんと衣装を縫い上げていってくれました。
そしてさらに、今回はみぃと同じ職場の(職場でミシンを使って働いている)お針子ガール達にも集結していただきみるみるうちに新撰組の羽織を何着も仕上げてくれました。
 
写真2 新撰組
 
今回の新撰組の羽織の色には演出家のこだわりがあり、『市販の薄い色のものはイメージではない!少しくすんだ青がいい!』という要望を叶えるべく、みぃは布探しに走り回ってくれたようです。
また、役に合わせた衣装選びに至っては、サムナツ倉庫から二百着以上ある衣装の中から一人で黙々とコーディネートしてくれたというのだから、彼女の衣装にかけるプライドに今年も感服したわけです。
 
写真3 近藤勇
 
春の小劇場公演2018にオープニングとして長野県上田市を拠点に活動している劇団モカイコZさんに来ていただいたのだけど、その時の出演者の一人、有賀慎之助くんには近藤勇役として出演していただきました。
彼が着用した白い羽織。作るときから本番に向け汚れが付着するのではないかと心配されていましたが、案の定、本番2日前の夜に羽織の中に装着している鎧から色移りしてしまうハプニングが発生。
まさか公演直前に!と一部メンバーは深刻な顔を隠せなかったわけですが、みぃは動揺すること無くその日のうちに汚れた羽織を持ち帰り、夜に何度も漂白をしてくれたとのことで事なきを得ました。
 
写真4 ビフォーアフター

本番前とは思えない落ち着いた対応。場数を踏んだ女優の余裕の姿がそこにはありました。あっぱれ!
 
写真5 漂白の様子

ちなみに、汚れた羽織の写真をブログで紹介させてねーと言ったところ、漂白していた様子の写真を送ってくれました。だんだらの黒い部分を間違って漂白しないように細心の注意を払いつつ桶に浸け、お玉を使って汚れと汗染みにだけに漂白剤をかけるといった作業をしたと今になって教えてくれました。あえて口には出さないけれど涙ぐましい努力があってこその結果。やっぱりあっぱれ!
 

そうそう、リアルの追求で言ったら面白い話がひとつ。
私たちが公演1ヶ月前からお借りした稽古場けんじゅう館は、私たち以外にもバレエ教室のレッスン会場としても使われています。
ある日、坂本龍馬に持たせる拳銃に汚しをかけて外で乾かしているのを見たバレエ教室のママさん達がそれを見つけて「こんなに汚い銃を使うなら、うちの子供のもっとキラキラ光る最新型の銃を貸すのに!」と話題になったそうで。
なんと翌日には私のところへ来て「銃貸すよ?」と言ってきてくださいました。
なんということでしょう!そのご好意、ありがたいですね。
そりゃそうだよね、「舞台だもん!かっこいいほうがいいでしょ!」と思っていただいたのでしょう。
ママさん達のご好意はとても有り難いものだったけど、この汚れた拳銃も演出家と小道具班のこだわり。龍馬の手の汗滲んだ拳銃は物語のキーアイテムとなりました。
 
写真6 坂本龍馬
 

サムナツの舞台作りでは、すべての部署で “この作品を魅せる” ことに全力を尽くします。なにをするにも常に観客からどう見えるか、そしてどう見せたいのかを考える。
だからその為に誰かが一生懸命作った物がボツになることもある。その時一生懸命に作ってくれたことに当然感謝をします。しかしながら舞台バランスを観たときに違うと思ったら納得のいくまで追求するのもサムナツスタイルとなっています。
 
写真7 大道具

最初に舞台セットにつけようとした装飾(この写真は作り途中です)。剛也が一人黙々と時間をかけて作ったものだったけど、これも今回のイメージには合わないと自分で結局ボツにしていた。
 

 
今回の舞台創作は台本に書かれている物語をただ立体的にするだけではなく、無限に広がっていく可能性を感じました。
それは、今回殺陣振付に入った中村遼のこだわりである「創造で想像を超えたい」という舞台作りへの信念が強く私の心にも響いたからだと思います。
彼が今まで以上に殺陣で魅せるストーリーにストイックにこだわり、物語に深みをもたしてくれたのは言うまでもありません。
サムナツの舞台で初挑戦となった血糊演出に加え、公演直前には刀が折れて突き刺さったまま死にたいと、遼本人の希望で本番1週間前から刀の小細工を製作する姿に感服しました。いい死に方だった、真玖部。

写真8 突き刺さる剣

写真9 死ぬまくべ
 

演出家共々こだわっていたのは、私たちの舞台空間はリアルであるといこと。
舞台で魅せられるのは人が生きる一瞬の一面的部分でしかないけれど、役者にはその生き様が滲み出るような芝居をしてほしいと常に求めていたし、衣装や小道具にしても、ただ買ってきたそれっぽいものではダメなんだと、毎年の事ながら演出家は衣装も小道具も「汚せ!汚せ!」と言い、そのニュアンスがわかる劇団員達が次々とまるで長い年月そこで使われていたような味わいを感じる汚しをかけていく姿はまさに年月を積み重ねたチームワークの賜物でした。
 
そしてそこに照明、音響、舞台セットが加わり急速に出来上がっていく空間をみて、脚本家であり演出家の剛也がいつも言うこと。
「本番が近づくにつれて俺の仕事は無くなっていく。俺の頭の中にあったストーリーが、最後は俺がいなくても公演されるまでに事が動いていく。俺の手を離れてみんなのひとつの作品が出来上がっていくのは幸せなことだなぁ。」と。
ひとつの公演を終えるたびに創作者としての幸せを噛みしめているようです。
 
舞台写真:ryo_kameda/hiroshi_yoneyama/ai_toeda


【プロフィール】
 松崎ひとみ

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劇団サムライナッツ・制作
劇団サムライナッツ/http://samurainuts.wixsite.com/samurainuts



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